最大酸素摂取量 (VO2max)はトレーニング界隈ではよく出てくる言葉の一つです。VO2maxはわかりやすく言うと持久力や心肺能力を表す測定値の一つです。
最大の酸素摂取量がなぜ持久力や心肺能力につながるのかはわかりそうで分かりづらいですよね?
この記事では最大酸素摂取量についてなるべく簡単に紹介していきたいと思います。
最大酸素摂取量 (VO2max)とは?
最大酸素摂取量とは1分間あたりに体重1kgあたりに取り込める最大酸素の量(mL)です。
つまり酸素をどれだけ摂取する(消費する)ことができるか?ということです。
下の図のように、「鍛えられた筋肉」と「痩せた貧弱な筋肉」の2つがあるとします。
筋肉は糖類や脂質をエネルギー源としてエネルギーを作りだします。
筋肉が大きく発達しているほどたくさんのエネルギー源を消費して、多くのエネルギーを生み出します。
このときエネルギーを作り出すにはエネルギー源に合わせて酸素が必要となります。つまり、鍛えられた筋肉ほど多くのエネルギー源と酸素を必要とします。
こめやん
エネルギーを作り出す仕組み(無酸素と有酸素)については、以下の記事をごらんください。
最大酸素摂取量は、筋肉がどれだけ酸素を要求するか?という値とも言えます。
最大酸素摂取量を増加させる要因は、筋肥大、筋ミオグロビン、ミトコンドリア数の増加、毛細血管の発達などがあります。つまり最大酸素摂取量(VO2max)は運動能力の高さを表す指標となります。
速筋など一概に鍛えた筋肉が酸素消費量が多くなるわけではありません。最大酸素摂取量VO2maxは有酸素運動能力を示す指標とも言えます。
最大酸素摂取量が持久力を表す理由
なぜ最大酸素摂取量が持久力を表すのかが微妙に分かりづらいですよね?
筋肉には二種類あるのを聞いたことがあると思います。
- 速筋(白筋):短時間の瞬発的な力を発揮する筋肉(無酸素運動)
- 遅筋(赤筋):長時間の継続的な力を発揮する筋肉(有酸素運動)
速筋は酸素を使わずに大きな力を発揮できる筋肉ですが、短時間しか使えないので、持久力のない筋肉です。速筋が多い場合は酸素は消費しにくいので酸素消費量は少なくなります。
一方で遅筋は酸素を使用するため、高エネルギーで大量に存在する脂質をエネルギー源として利用できます。そのため、遅筋は持久力のある筋肉ということになります。この遅筋が大く、より活動的になれば酸素消費量はどんどん大きくなります。
つまり、酸素消費量(酸素摂取量)を見れば持久力の度合いを調べることができます。
こめやん
遅筋の色が赤い理由
遅筋はミオグロビンという酸素をキャッチする赤い物質が多いために赤筋と呼ばれています。遅筋の酸素消費量が多い理由の一つですね。
最大酸素摂取量 VO2maxの測定方法
最大酸素摂取量は、普通の人は40くらいと言われています。マラソン選手など持久力を要する競技の人は2倍以上のVO2maxだと言われています。
では、最大酸素摂取量はどうやって測定するのでしょうか?
VO2maxの測定方法は「直接法」と「間接法」の二種類あります。
最大酸素摂取量の測定 直接法
直接法は運動中の呼気の成分を直接測定することによって、酸素摂取量を測定します。
自動呼気ガス分析装置は呼気を採集するマスクをつけながらトレッドミルやエルゴメーターで負荷を徐々に強めながら運動を行い、負荷をあげていっても酸素摂取量が増加しなくなったときの値を最大酸素摂取量として計上します。
直接法は信頼性は高いですが、特別な機器などが必要となるため医療機関以外などでは測定するのが難しいのが欠点です。
最大酸素摂取量の測定 間接法
間接法では直接呼気成分を測定するのではなく、運動負荷強度と心拍数などから間接的に最大酸素摂取量を推定する方法です。
心拍数比率法
心拍数比率法では心拍数だけでVO2maxを導き出すことができます。問題点は年齢(21-51歳)、運動経験有り、人種(デンマーク人)のデータに基づいているので、データと同じグループに属する人でないと、正確な最大酸素摂取量を推定できない可能性があります。計算式は
最大酸素摂取量 = 最大心拍数÷安静時心拍数×15.3
です。
クーパーテスト
クーパーテストは1960年代の米国空軍の調査に基づいたテストです。
必要な値は12分間で走行できるメートル数です。
クーパーテストも心拍数比率法と同様に偏ったデータに基づいているので、データと同じグループに属していない場合は正確な推定ができないおそれがあります。導き出されるVO2maxはマイナスになるのでマイナスをかけます。
-VO2max = {(12分で走ったメートル数)×(-504.9)}÷44.73
20mシャトルラン法、多段階フィットネステスト
20mシャトルラン法では、20mシャトルランでの総回数から最大酸素摂取量を推定できます。換算表はこちらのリンクのPDFを確認してください。