ラズベリーケトンは近年、減量のサプリや美容成分として人気がでた健康成分の一つですが、人体を含めた科学的な実証研究はどの程度やられているのか?副作用は無いのか?実際に効果はあるのか?という疑問を元に調査しました。
ラズベリーの香料成分ラズベリーケトンの構造と効能・効果
ラズベリーケトンはラズベリーやクランベリー中に含まれているフルーティーな香りのする香料成分です。フェノール(OH)とケトン構造(C=O)を有することからラズベリーケトンと呼ばれています。ラズベリーケトンはその化学構造が、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンと似ていることから、カプサイシンと同様に脂肪燃焼効果などがあるのではないか?として注目されました。
ラズベリーケトンはラズベリー1kg中に数ミリグラムしか含まれていないため、有効な量をベリー類から摂取するのは難しいです。サプリメントとして販売されているものは化学的に合成されたものです。
ラズベリーケトンの合成はp-ヒドロキシベンズアルデヒドとアセトンとのアルドール縮合後、二重結合を還元して得られます。
マウスレベルの研究では脂肪燃焼に関与?
2010年 韓国・食品医薬品安全処のParkらはラズベリーケトンが雄マウスの高脂肪食による体重増加を防ぎ、白色脂肪細胞の脂肪代謝を増加させることを報告しています。さらに3T3-L1細胞にラズベリーケトン10uMの条件において脂肪分解を有意に増加させ、アディポネクチンとアディポサイトカインの発現と分泌の両方を増加させることを報告しています。マウスで効果があったとはいえ、投与量が多かったり、人で同様の効果があるとは言えませんが、一つの傍証にはなるかもしれません。
1)Park, Kyoung Sik. “Raspberry ketone increases both lipolysis and fatty acid oxidation in 3T3-L1 adipocytes.” Planta medica 76.15 (2010): 1654-1658.
アディポネクチンとは?
アディポネクチンは脂肪細胞が分泌するホルモンで肥満の人はアディポネクチン量が低下し、インスリン抵抗性になって血糖値が下がりにくくなります。アディポネクチンは脂肪燃焼にも関わると言われています。アディポネクチン量は運動によっても上昇することが知られています。
ラズベリーケトンの効果
ラズベリーケトンには、アディポネクチンやアディポサイトカインの分泌を増加させる作用があり、糖尿病や心疾患リスクを低減させたり、脂肪燃焼を亢進させる作用が動物実験レベルで示されています。しかし、ヒトに関する研究は不足していて、動物実験でまた小規模な実験でさらなる調査が必要でありますが、発毛を促進させる作用があることも報告されています2)。
ラズベリーケトンの摂取量・副作用について
ラズベリーケトンに関するヒトへの摂取量上限や副作用などについてはまだ十分に研究されていません。現状では、1日に1〜2回、100〜400 mgの投与量が推奨されています。
2)原田、N、岡島、K、成松、N。、栗原、H。&中形、N。(2008)マウスにおけるインシュリン様成長因子‐1の皮膚産生およびヒトにおける毛髪の成長と皮膚の弾力性に対するラズベリーケトンの局所適用の効果成長ホルモンおよびIGFリサーチ、18(4)、335〜344。
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