運動不足による筋肉の減少は廃用性筋萎縮!
筋肉は常に作られたり壊されたりしているものです。
筋肉が増えるか?減るか?はこのバランスがどちらに傾くかによって変化すると言えます。
体に存在するタンパク質の5割は骨格筋と言われるほど、骨格筋は巨大な組織であることを知っていましたか?
わかりやすい目に見える筋肉の多くは骨格筋ですが、この骨格筋は実は運動のためだけに存在しているわけではありません。
骨格筋は運動だけでなく、タンパク質・アミノ酸の貯蔵組織としての役割もあります。体中のアミノ酸やエネルギー源が不足した場合に骨格筋のタンパク質が分解されて利用されます。
骨格筋が運動以外の理由でも存在価値があるのですが、やはり、運動不足によって骨格筋は痩せ衰えて行きます。
このように運動不足によって筋肉が減っていく現象を医学的には「廃用性筋萎縮」と呼んでいます。
例えば老人が寝たきりになってしまうと筋肉が使われずにどんどん筋肉が萎縮していきます。宇宙飛行士が宇宙船で筋トレをたくさんするのも無重力下では筋肉に運動負荷がかからないので、寝たきりと同じく廃用性筋萎縮が起きてしまうからです。
この廃用性筋萎縮は運動不足だけでなく「飢餓(エネルギー不足)」や「アミノ酸欠乏」によっても起こります。しかし、現代人では飢餓やアミノ酸不足よりも圧倒的に運動不足が廃用性筋萎縮の原因でしょう。
そうはいっても、タンパク質・アミノ酸は意識しないと不足する可能性があります。筋萎縮を予防するためにも適切な量のタンパク質は毎日摂取したところです。
こめやん
アミノ酸スコアでタンパク質を見極め、筋肉をつけろ|計算,大豆,そば
廃用性筋萎縮を予防する方法は、レジスタンストレーニングが最も有効かつ信頼性のある方法です。
また、加齢による筋肉の減少はサルコペニアと呼ばれ、廃用性筋萎縮とは区別して考える必要があります。
筋肉は常に作られ、分解している!?
筋肉は常に合成と分解(同化と異化)を繰り返しています。バランスに大きく関わる因子としてインシュリン様成長因子(IGF-1)があります。IGF-1は運動による刺激等を受けて生産されることが知られています。
つまり、運動不足によってIGF-1の生産が低下すると筋肉の合成と分解のバランスが分解側に傾いて筋萎縮が優勢になってしまうようです。
IGF-1のシグナル経路ではその下流で筋萎縮に関わる遺伝子の発現を抑制し、筋肉合成を促進させる因子であるmTORの活性化を誘導します。
1) 町田修一. “筋萎縮のメカニズムの解明とリハビリテーション.” Jpn J Rehabil Med VOL 44.3 (2007): 144.2) 越智ありさ, 北畑香奈子, and 二川健. “廃用性筋萎縮とアミノ酸.” 生化学 86.3 (2014): 367-371.