筋トレをする目的は人によって違うと思いますが、大抵は筋肉横断面積 (筋肉の太さ)を大きくする「バルクアップ」目的と、最大挙上重量の増大を目指す「パワーアップ」目的の2種類があります。
バルクアップを目指す筋トレとパワーアップを目指す筋トレの方法には違いがあるのでしょうか?
筋トレのやり方は目的によって違う
実は筋トレのやり方は目指す目的によってやり方が違います。
バルクアップのための筋トレ方法 | 一般論
バルクアップのための筋トレでは、主に1RMの約40~80%の中程度の負荷で短めのインターバルをとりながら多数セット法(~40回)でやるのが一般的です。
パワーアップのための筋トレ方法 | 一般論
パワーアップのための筋トレでは、最大挙上重量1RMの90%以上の負荷で長めのインターバルをとって少なめのセット数 (1~3回)で行うのが一般的です。
筋トレ方法によるトレーニング効果の違いを調べた論文
一般成人男性11人を対象にトレーニング方法によって
- 筋横断面積
- 筋力
- 無機的パワー
- 無機的持久力
を測定して比較検討しました。
実験方法
参加者の詳細:
- パワーアップ筋トレ群 (5名、年齢平均:27.6歳、身長平均:173.8cm、平均体重:70.0 kg)
- バルクアップ筋トレ群 (6名、年齢平均:29.4歳、身長平均:173.6cm、平均体重:68.2 kg)
トレーニング詳細:
トレーニングは膝関節角度90度~180度までの膝伸展運動を右足で行う。パワーアップ群は1RM90%の負荷で5セット、セット間休憩は3分間で行った。バルクアップ筋トレ群は1RM 80, 60, 50, 70, 50, 40, 60, 50, 40%の負荷で各々行い9セット、3セットを1中セットとしたとき、中セットの間2回は3分間の休憩、小セットの間では30秒休憩をとった。それぞれのトレーニングは週二回、8週間行った。1RM測定は直接法で行った。
結果
結論から言うと「従来のバルクアップ型やパワーアップ型のトレーニング方法はそれぞれ、筋肥大、1RMを有意に増加させることがわかりました。」
以下それぞれの項目の詳細です。
筋横断面積は、バルクアップ型のほうが統計学的に有意に増加率が大きかった。
最大挙上重量 (1RM) はパワーアップ筋トレ群のほうが全体的に有意に増加しました。
等速性平均膝伸展筋力(角速度 180deg/sec, 50回)では、バルアップ型のほうが有意に高かったことから無気的持久力が有意に増大したといえる。
筋繊維のタイプに関しては、パワーアップ型とバルクアップ型のどちらの群も繊維の構成に大きな変化はありませんでした。
毛細血管のパターンはバルクアップ型とパワーアップ型とで異なっていて、パワーアップ型ではTypeII繊維周辺の毛細血管数を増加させ、バルクアップ型ではTypeI繊維周辺の毛細血管数を増加させました。
崔鳥淵, et al. “「パワーアップ型」 と 「バルクアップ型」 筋力トレーニング手段のトレーニング効果の相違.” 体力科学 47.1 (1998): 119-129.
つまり、バルクアップ目的のトレーニング方法とパワーアップ目的のトレーニング方法とでは得られる効果が変わってくるということがわかります。
言い換えると、負荷量と回数が筋肥大や最大挙上重量の向上に影響を与えるということです。
バルクアップ (筋肥大)に効果的なインターバルの間隔や回数、休憩時間については以下の記事を御覧ください