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電気刺激による筋力強化は有効?

電気刺激と筋力の関係

筋肉の収縮は神経刺激で起こります。神経細胞は電気信号を使って脳からの情報を伝えるので、外部からの電気刺激が筋肉の収縮を引き起こすということが起こりえます。筋肉の収縮を意識せずとも行えれば、トレーニングを無意識にできる可能性がありますよね?

電気刺激と筋肉収縮

電気刺激が神経や筋肉に与える影響を調べる学問は「電気生理学」と呼ば得れる分野で、1786年にLuigi Galvaniによって研究が始まりました。1786年というとかなり昔ですよね?

といっても実際に筋力強化に関する研究が行われたのはずっと後になります。そもそも、筋力増加に与える影響をしっかりと測定する手法が当時はなかったために、電気刺激が筋力を増加させるというような結論を導き出すことができませんでした。例えば、大腿四頭筋を強化するのに電気刺激が効果的かどうかを調べる研究が、1989年江崎らによってなされています。これは、特定の電気刺激トレーニング期間後に、大腿四頭筋の周囲径がどのくらい大きくなったかを調べる方法ですが、周囲径という比較的大雑把な測定対象であるため、ばらつきが大きく、さらに筋肥大変化は運動歴や遺伝的要因、食生活要因、日常生活の運動強度、年齢や性別などの要因によって大きく変化するため、評価方法としては疑問点が多く、正しい評価法とは言いにくいようです。ただし、電気刺激の効果はこれまでの経験的にはある傾向があるということで、研究が続けられています。

低周波と高周波電気刺激

電気刺激により筋強化を行う方法は大きく分けて1.低周波を使う方法と2.高周波を使う方法の2つがあります。これまでの研究からは、強い筋収縮力が得られるのは、電気刺激の方であるという結論が出ています。

OWENS, J.; MALONE, “T. Treatment parameters of high frequency electrical stimulation as established on the Electro-Stim Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 1983, 180, 162-168.

江崎らは高周波電気刺激と筋力効果の関係を調べるため従来の筋周囲径だけでなく、大腿四頭筋の最大随意筋収縮力や筋断面積をCTによって測定することで評価の信頼性を高めた研究を行った。

実験の概要

スポーツ経歴なしの健常者10名、男性、身長平均170cm+-3.5cm, 年齢平均21.8+-2.9歳、体重68.w+-11.5kgで日常生活に対する制限を設けないで実験を行った。評価は同人の左大腿四頭筋と右大腿四頭筋に対して電気刺激を左に行って、右には電気刺激を行わないという方法をとった。与えた電気刺激は周波数50KHz、パルス幅0.2msecで、電気刺激の強さは当人が耐えられる最大の強さとした。通電は40秒間ー休止40秒間の10セットを一日に行い、一週間当たり三回、6週間行った。

結果

筋周囲径は右・左(刺激・非刺激)で有意差はなかった。最大随意筋収縮力(MVC)測定は統計的に有意差を認めた(15%の増加、p<0.01)さらにMVCは刺激期間が長くなるにつれて増大する傾向があった。CTを使った筋断面積は非刺激群は減少、刺激群は増加傾向があったが統計的な有意差はなかった。単位面積あたりの筋力については刺激群で増加しており、t検定、有意水準5%において統計的に有意差があった。

 


実際どうなの?

この実験では少なくとも電気刺激は筋肉に対して何らかの変化を引き起こす可能性を示しています。具体的には、最大随意筋収縮力が15%増加したという結果が得られています。その一方で筋肉のサイズ自体は大きくならないという結果も得られています。つまり電気刺激を用いた筋肉トレーニングは筋肥大には有効ではないという結果が得られたということです。この結果からわかることは、収縮に参加する筋繊維の数が増加したことによると考察しています。言い換えると活動していなかった筋繊維が電気刺激によって活動に参加するようになるために、筋力増加効果が得られるといっています。

ちなみに電気刺激による筋収縮効果はOwenら(上に書いた論文)による報告では、最大随意筋収縮力の60%以上の筋収縮効果が電気刺激だけで得られるようです。

実験的には?

対象とする人数が少ないのが気になるところ?ですが、大体十数人くらいで実験をやることが多いようです。

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